深沢小屋クラブ会報 2017年11・12月号
 9月、10月は連日キノコ採りに出掛け、ハナイグチ、マイタケ、マツタケ、ヌメリスギタケモドキ、ハタケシメジ等、多くの種類のキノコを採りました。しかし、梅雨の降雨量が少なかったり、8月の長雨と猛暑の影響もあり、キノコの発生が遅れた上に量が少なくて残念でした。
 9月には、ガイドの依頼で2回山に行きました。9日には谷川岳に登りました。天神平までロープウェイで登り、オキの耳、トマの耳の山頂を往復しました。25日には白駒の池に行きました。コメツガの苔むした原生林を歩き、高見石からの展望も楽しみました。どちらも晴天に恵まれて気持ちの良い山行となりました。ガイドの依頼がありましたらお知らせ下さい。現在、会員数は2名の新しい入会者を迎え164名です。 

9・10月の活動報告
百名山登山(鳳凰三山)
 8月の行事でしたが、前回の会報に間に合わなかったので、今回報告させて頂きます。8月30日から31日に掛けて、テント泊で鳳凰三山の縦走に出掛けました。30日の早朝に会員の方2名と小屋番2名の4名で出発して、青木鉱泉の近くの林道に車を停めて歩き始めました。急登で有名なドンドコ沢コースを登りましたが、大きな滝がいくつもあって、眺めを楽しみながら歩けました。地蔵岳の山頂近くの鳳凰小屋に到着して、テントを張ってから、お酒を飲んで夕食を食べ、9時に消灯しました。翌日早朝に出発し、地蔵岳、観音岳、薬師岳を縦走して林道に下りました。2日とも曇り空で、雨にこそ殆ど降られませんでしたが、甲斐駒や南アルプスの山々が見られず残念でした。

キノコ採り体験
 9月のキノコ採り体験は、キノコの発生が例年より遅く、収穫が望めない為に中止となりました。10月5日の体験には、会員の方が3名参加して、丹波山周辺と金峰山に出掛けました。ハナイグチやヌメリスギタケモドキ等、色々なキノコや胡桃、ヤマブドウ等を採ることが出来て、満足して頂けたのではないかと思います。

11・12月の活動予定
オータムハイキング(今熊山)
11月16日(木)13時武蔵五日市駅集合 16時解散予定 
8名まで 参加費500円
 ミツバツツジで有名な今熊山ですが、山頂からの眺めも良い山です。麓の小峰公園に車を停めて出発し、登頂後には金剛の滝も巡ろうと思います。山頂までは、ゆっくり歩いても1時間程ですので、どなたでも気軽にご参加下さい。秋の紅葉とハイキングを楽しみましょう。

年忘れ登山&忘年会(日の出山)
12月21日(木)13時武蔵五日市駅集合 18時解散予定
8名まで 参加費2000円 (夕食代含む、飲み物代別)
冬の日の出山は、空気も澄んでいて晴れていればスカイツリーも見ることができます。車で移動してから山頂を往復して小屋に戻り、今年1年を振り返って食べたり飲んだりしたいと思います。18時頃駅に送る予定です。参加費は2000円で夕食代を含みます。飲み物代は別途、実費でお願いします。



2017年の年間行事計画
 1月15日(日)新春登山(御岳山)・新年会(1名参加で実施)
 2月19日(日)燻製作り体験(11名参加で実施)
 3月 5日(日)渓流釣り体験(上級編)(中止)
 4月 9日(日)山菜採り体験&天ぷら作り(12名参加で実施)
 5月11日(木)テニス大会(5名参加で実施)
 6月 1日(木)渓流釣り体験(入門編)(3名参加で実施)
 7月13日(木)二百名山登山(乾徳山に変更して1名参加で実施)
8月30・31日(水・木)百名山登山(鳳凰三山)(4名参加で実施)
 9月14日(木)キノコ採り体験(中止)
10月 5日(木)キノコ採り体験(3名参加で実施)
11月16日(木)オータムハイキング(今熊山)
12月21日(木)年忘れ登山(日の出山)・忘年会
※野外で行う行事が殆どですが、保険等には加入していませんので、どの行事も自己責任でご参加下さい。来年も様々な行事を計画したいと思いますので、参加のご希望がありましたら長山までご連絡下さい。
090-5192-0779(長山携帯)又は
keiryuheiko@softbank.ne.jp(長山メール)まで

 
小屋の営業について
 
前回もお知らせした通り、小屋の利用につきましては、深沢小屋042-595-1806又は、佐藤携帯090-7413-5637までお願いします。
 
 ガイドのお知らせ
 積雪期を除き、年間を通しての登山、山菜採り(4月前半)、キノコ採り(9~10月)、渓流釣り(3~9月)等のガイドを受け付けています。ご希望がありましたらお知らせ下さい。
 費用は、ガソリン代、高速代、駐車場代等の実費の他に、平日5000円、土日祝日7000円を頂いています。8名までは1台で運べますので、大勢だと割安になるかと思います。
 登山については、登った事のある山なら直ぐにご案内できますが、登った事のない場合は下見に行きたいと思いますので早めにお知らせ下さい。
 山菜採りは、小屋の近くにもいくつかポイントがありますので、ガソリン代も殆ど掛からず、高速代も掛かりません。
 キノコ採りは、種類や時期に拠って場所が変わりますので、高速を使って遠出する場合もあります。マツタケ、マイタケ等に挑戦する事も可能ですが、かなりの体力と山歩きの経験を要します。今回の様に、時期によっては、胡桃拾い等も同時に楽しめます。
 渓流釣りは、基本的に同じ川を歩いて釣り登るため、2名までとさせて頂きます。道具が無くても参加出来ますのでご相談下さい。
クラブの行事同様、保険等には加入していませんので、参加については自己責任でお願いします。



恐怖心
 

これは、1人の男が己の恐怖心にいかにして打ち勝ち、克服したかの物語である。
 子供の頃から暗闇が怖かった。消灯時刻になると親が電灯を消しに来る。いつも、小さな電球を点けておいてくれと懇願していた。
 高校山岳部の時、個人山行で3人で南アルプスに行った。三伏峠までのきつい登りは雨の中だった。数日後、テントで夕食を摂っていると、小屋の人がテン場の管理費を徴収に来た。「あれ、そこにテントを張っちゃったんだ。」と言う。「ここに張っちゃいけなかったんですか?」と聞くと、「花束が置いてあったでしょう。3日前に沢登りの単独行の人が雨の中を登ってきて、ここに張ったテントの中で疲労凍死してたんだよ。大変だったんだ。」と言う。嘘だろ!花束なんかあったか?と3人で顔を見合わせた。しかし、外は既に暗くなり始めていたので、テントの移動は困難だった。仕方なくそこに泊まる事になった。
 その夜、少し離れたトイレに行くのはあまりにも怖かった。誰もテントから1人で出られない。3人で連れだってトイレに行った。トイレに1人で入った者は常に外にいる者に話し掛け、恐怖心をなだめていた。
 大学1年の時、OBとして高校の山岳部の新歓山行に差し入れを持って行くことになった。ところが雑用で出発が遅くなり、大学から駅までの道を急いで歩いていると、「誰か助けて。」と言いながらおろおろしている女性がいた。何かと思って近寄ると、どうも自宅が燃えてうろたえていた様だ。道を挟んだ向かいのアパートの2階の廊下に消火器が見えたので、走ってそれを取って戻り、他人の家に勝手に駆け込んだ。台所から出火して2階のベランダに燃え広がっていた。2階に駆け上がって和室に入ると、外に干してあった布団が燃えていた。消火器の安全栓を抜き、ホースを手に消火をしたが、火が全部消える前に消火液が尽きた。階段を駆け下ると、先ほどの女性が、家の外でホースを持って右往左往していた。それをひったくって2階に戻り、洋室のドアを開けると天井が燃えていた。2階のトイレの蛇口にホースを繋ぎ、煙にむせて涙と鼻水を垂らしながら水を掛け続けた。なかなか火の勢いは収まらなかったが、通報があったのか消防車が到着し、消防士に「危ないから降りなさい」と言われた。後は任そうと思って、外に出た。早く行かないと暗くなってしまうと駅に急ぎ、奥多摩の鳩ノ巣駅に向かった。
 前置きが長くなったが、恐怖の時間はその後直ぐに来た。火事騒ぎで更に出発が遅れた為、1人で川苔山への登山道に入ると直ぐに日が暮れた。新歓の行われるテン場までは1時間以上掛かる。ヘッドライトを点けたが、真っ暗な山の中では心許ない。試しに消してみると、漆黒の闇だった。これは怖い。差し入れのウイスキーボトルを出して、ラッパ飲みした。これが飲まずにいられようか。ようやく先発隊と合流した頃にはボトルの3分の1程が無くなり、すっかり酔っていた。
 就職してから渓流釣りにはまった。夜中に車で出発して、夜明け前に川に着く。更に、ゲートに行き先を阻まれた暗い林道をライトを点けて歩いた。朝マズメの好機を逃すまいと、ポイントへの道を急ぐ。森の中で光る鹿の目に怯えつつ、廃道となった林道の真っ暗なトンネルの中も恐怖心を押さえ込んで歩いた。目的があれば人間は強くなれる。
 キノコ採りは他人との競争だ。マツタケやマイタケを狙う者は、夜明けと同時にポイントに着く為に暗い内から歩き出す者が多い。しかし、真っ暗な登山道を1人で歩くのも嫌だ。
 その日は、マイタケを狙って丹波山に出掛けた。4時半にマイタケポイントの登り口に着き、直ぐに出られる準備をして車の中で夜明けを待っていた。5時半には明るくなるだろうと思っていたら、5時に車が1台来て道の反対側に停まった。もう躊躇している余裕は無い。直ぐに、ヘッドライトの明かりを頼りに真っ暗な山道を歩き出した。以前なら怖かった暗闇や熊の出現。だが、欲望は恐怖心に打ち勝つものらしい。待っている間に飲んだワインも効いたのか、まったく恐怖を感じなかった。 ついに、暗闇との長い闘いに勝利したのだった。

台風一過
 超大型の台風21号が来て去って行った。台風一過はいつも楽しみだ。東京という大都会の汚れた空気を、暫くの間一新してくれる。秋晴れの空、ちぎれ雲、眩しい太陽、そして星空。新鮮な空気を胸一杯吸い込む。
 いつも渋滞している道路も、台風直後はガラガラだ。いつもなら車で溢れる首都高は、たった30分で一周出来る。強風の為に木の葉や枝が落ちてはいるが、雨に洗われた道路は清潔感さえ漂わせている。
 石空川の胡桃を拾いに行こう。林道に落ちた胡桃が雨水に晒されて綺麗になっていることだろう。
 キノコを採りに行こう。雨の恵を受けて、新しい芽生えをしているはずだ。なんだか自分も生まれ変われる様な気がする。
 人生における台風も何度か訪れる。その度に人は変わるチャンスを与えられる。引っ越し、受験、就職、親しい者の死等、激しい風に揉まれて生きている。自分で自分を変えるのは難しいが、大きな風を受けて背中を押される時がある。追い風を受けて、大きな海原に漕ぎだしたいと思う。先に何があるか分からないが、日常という壁を越えて行こうと。
 原田マハの「楽園のカンヴァス」を台風の雨、風が激しい最中に読み終えた。2度目の読了だが、感じることはまた違う。芸術という永遠の命。人生という一瞬の命。出会いという奇跡。そういう物を大切にしたいと思える話だ。
 今回の台風の被害で亡くなった方も少なからずいる。水害に会って苦しんでいる人も。自然は、恵と苦しみを同時にもたらす。それに抗い、それを受け止めて人間は長い間生き延びてきた。
 7年前の大震災は、天災であったが人災でもあった。いつか大きな地震が起こり、津波が来ることは予測出来た筈だ。原発は、絶対安全だと言われていたが嘘だった。しかし、津波が来るであろう場所に家を建て、人が住む街に原発を作った。過ちは誰にもあるが、それを教訓にすべきだろう。
 とはいえ、人は何度も過ちを繰り返す生き物だ。原発はあちこちで再稼働を始める。被災地に新たに高い堤防は築いたが、海辺に、崖の下に、川沿いに多くの人が今も住んでいる。警戒宣言が出されるまでもなく、危険な場所に住むのを止めればいいと思うのは、無責任な言い分だろうか。もちろん、核兵器があるかもしれない横田基地の近くに住んでいる自分も、同じことをしているのかもしれないが。